新年あけましておめでとうございます。
昨年の残暑お見舞いでは環境問題について書きましたが、この年頭の挨拶でも地球温暖化に
少し触れたいと思います。それは人類にとって差し迫った危機だからです。
温暖化研究の世界的権威のヨハン・ロックストローム博士は地球の平均気温があと1.5度上が
ると「北極の氷の溶解が止まらなくなり、温暖化が加速。それによってシベリアの永久凍土も
とけ、温室効果ガスのメタンが放出。さらにアマゾンの熱帯雨林が消失するなどして、ドミノ
倒しのように気温が上昇し続け、元に戻らなくなる」と言っています。
各国の対策が進まず温室効果ガスの排出が進めば、早ければ今後10年で1.5度の臨界点に到達
してしまうまでに、その期限が目前まで迫って来ています。こうした地球規模の問題の他に、
日本においてはさらに地震という避けられない問題を抱えています。 いつ起きてもおかしく
ないと言われる南海トラフ地震、そして首都直下地震です。それぞれ起きる確率は前者が30年
以内に80%、後者が70%と言われています。
昨年暮れにNHKが首都直下地震を1週間という異例の長さの特番を組み警鐘を鳴らしました。
それでも切実な問題として家族で話し合ったり、備えを厚くしたりした人はそう多くはなかっ
たような気がします。内閣府が出した最悪時(冬の夕刻)に発生した場合、首都圏全体で死者
数2万3千人、全壊、焼失家屋61万棟、避難者720万人、経済被害95兆円と推計されています。
しかしながら政治・行政・経済の中心で1千万人以上が住む大都市圏でことが起これば、日本
全体に影響は波及し推計では推し量れない被害がでることは間違いありません。
ちなみに公益社団法人土木学会の試算では南海トラフ地震の被害額は1,410兆円、首都直下地震
の被害額は778兆円としています。これは直接被害だけでなく交通インフラが寸断されて工場
などが長期間止まり、国民所得が減少するなど20年間の損害盛り込んでいます。
さらに危惧することは、5年、10年と短い期間で2つ、3つの大地震が起きたら日本がどう
なってしまうのかということです。そんなことはないと思われるかもしれませんが、過去に連続
して大地震・大噴火が起こった事実は何回かあるのです。正直わたしも知らななかったのですが、
そのことを知るとなにか背筋が寒くなる思いです。
それは江戸中期の1707年10月に発生した宝永地震(震源は南海トラフで規模はM8.6)と、
江戸末期の1854年12月に発生した安政東海・南海地震(震源は東海・南海トラフで規模は
それぞれM8.4)です。後者は東海地震の32時間後に南海地震が起きています。
宝永地震では地震の49日後に冨士山の大噴火が起きており、安政の東海南海地震ではその
約1年後に江戸直下地震(M7クラス)が発生しています。東・南海トラフは100~150年
の間隔で大地震を引き起こしています。そしてそれに誘発されるように続いて富士山の大
噴火や江戸直下地震が短期間のうちに発生しているわけです。特に安政の5年という短い期
間には伊賀上野地震(1954年7月)、八戸沖地震(1956年8月)、飛越地震(1858年4月)
というM7クラスの地震が頻発しています。 江戸時代に比べ人口も建造物もインフラも過密
した日本で宝永地震や安政大地震ような広域に被害をもたらす地震と、それに誘発された大
地震や大噴火に続けて見舞われたら日本は一体どうなるのでしょうか。日本存亡の危機と言
ってもおかしくありません。気候変動同様に日本においては地震についても家族・学校・
職場のほか行政・政治の場でより一層対応を討議されなければならないと思います。
年の初めから縁起でもないとお叱りを受けるかもしれませんが、日本人にとっては気候変動
同様に地震についても避けて通れない問題として日頃一人ひとりが防災について考え、行動
に移していかなければならないと思っています。地震は今日・明日にも起こるかもしれません
から。
令和二年 元旦 株式会社メカ工業
代表取締役 小暮三十光